はじめに [EN]
※目止めをしないで使用したカップ
陶器の性質
陶器には一般的に吸水性があるため、ご使用により料理の水分や油分、茶渋などが土の内部に入り込み、 染みや匂いの原因となることがあります。
◯陶器と磁器の違い
陶器=土ものと呼ばれ、多孔質で吸水性があり、透光性はない(染みや匂いがつきやすい)
磁器=石ものと呼ばれ、ガラス質で吸水性はなく、透光性を持つ(染みや匂いはつきにくい)
釉薬はガラス質であり、水分や油分は通しませんが、表面上のごく小さなピンホール、 また貫入(かんにゅう)と呼ばれる釉薬のヒビから染み込みます。
◯貫入とは焼成後の冷却時に釉薬に入る細かいヒビのことです。
貫入自体は欠点ということではなく、貫入に染み込んだ茶渋などを味わいとして好まれる方もおられますし、 装飾として意図的に貫入が入るように釉薬を調合することもあり、陶器の見どころの一つとなります。
目止めの方法
目止めとは、多孔質で吸水性のある陶器に最初に澱粉質を染み込ませることにより、料理の成分を染み込みにくくする方法です。
◯器の目止めには米のとぎ汁、もしくは小麦粉か片栗粉を水に溶かしたものを使います。
(小麦粉か片栗粉をご使用の場合は水1リットルに対し大さじ5杯程度を加え、とぎ汁の代わりとしてください。)
◯はじめに器が完全に浸る大きさの鍋などに米のとぎ汁と器を入れます。
よりしっかりと目止めを行いたい場合にはさらに一握り程度のご飯を加えます。
◯弱火〜中火で沸騰させます。
(必ず常温の水に器を入れてから弱火〜中火でゆっくり加熱してください。
沸騰した状態の鍋に器を入れたり強火で急激に加熱すると破損の原因となります。)
◯沸騰したら火を止め、そのまま半日から一晩ほど漬け置いたあと器を取り出し、洗ってからよく乾かします。
◯器が大きくて鍋に入らない場合はよく乾燥した器に上記のとぎ汁等を流し込んで目止めとしてください。
◯焼締の器(釉薬の掛かっていない器)、白土の無釉部分があるものはシミが目立ったり匂いが強めに残ってしまうことが御座いますので目止めをした上でお使いください。
◯器は新しい時が吸水性が最も高く、使い込むに従って次第に吸水性も落ちてきます。
ですので特に使い始めのうちに魚料理をのせたりカレーやケチャップなど色の濃いものをのせると色や匂いが残ってしまう可能性が高くなります。
使い始めのうちはそれらをお控えいただくか、目止めをしたうえで水にさらしてからお使いください。
◯焼締の器のうちぐい呑や湯呑みなど水分を入れるものは場合によっては水分が表面に浸み出すことがございますが、 こちらも目止めをすることで止まります。
とぎ汁に少しのご飯を加えしっかりと目止めを行なってください。 一度で止まらない場合は何回か繰り返すことで止まります。
◯目止めをすることで染みや匂いは付きにくくなりますが、完全に防げるわけではございません。
※目止めをしないで数年間使用したお皿
日常のご使用は
◯ご使用の際にはその都度水にさらして水分を吸収させてからお使いいただきますと食品の水分や油分が入り込みにくくなり、 汚れを防ぐことができます。
お急ぎの場合はさっと水にくぐらせるだけでも効果はあります。
◯ご使用後は柔らかいスポンジと食器用洗剤で洗い、よくすすいでください。
焼締の器で表面が荒い場合には柔らかめのタワシが最適です。 クレンザーや硬いスポンジ、金タワシは器を痛めてしまいますのでご使用をお控えください。
焼締の器には全体的に多少の吸水性がございますので合成洗剤は控えめにお使いいただくか、安心な無添加石鹸等のご使用をお勧め致します。
◯長時間にわたって料理をのせたままにしたり、長時間の漬け置き洗いをすることは染みやカビ、匂いの原因となります。
お使いいただいた後はすぐに洗い、しっかりと乾燥させ、風通しの良い場所で保管してください。
乾燥させないまま収納してしまいますとカビや匂いの原因となります。
◯食洗機や電子レンジで軽く温める程度のご使用は、通常でしたら問題ございませんが、内容物が沸騰するほどの極端な加熱は破損の原因となります。
割れ物という性質上、器の状態や使い方によっては破損の可能性は常にございます。
万が一の場合でも破損に対する補償等は致しかねますのでお客様ご自身のご判断でお使いください。
※金色、銀色の加飾があるものは電子レンジではお使いいただけません。
※耐熱陶器以外は直火やオーブンではご使用になれません。
※一部の色釉薬は強い酸(ガリ、梅干し、酢などの食品)により変色してしまう場合がございますのでお気を付けください。
染みや匂いがついてしまったら
◯染みや匂い気になるようでしたら食器用漂白剤をお試しください。
濃いめの濃度で漂白することでほとんどのものは落とせます。
しっかりとお手入れをしてお使いいただいた場合でも器の風合いは年月と共に変化してまいります。
使い込むにしたがって変化する器の表情をお楽しみ下さり、ご愛用いただければ幸いです。